飛行機の中は、とても乾燥しています。その湿度は5%程度とも言われており、おしぼりもあっという間に乾いてしまいます。そんな乾燥した環境の中で、数時間過ごすと・・・想像するのも恐ろしいですが、お肌は水分を失い、カッピカピ。
「乾燥する機内で、どうやって過ごせばいいんだろう?」
「何か、乾燥を防ぐためのいいアイデアはないかな?」
今回は数十年間、飛行機の乾燥と戦ってきた元CAの私が、CAがやっている工夫と一緒に、機内での乾燥・保湿についてご紹介します。
機内はとっても乾燥している!保湿の対策
飛行機での旅行はとても楽しいものですが、「機内の乾燥がつらい」という経験はありませんか?
飛行機での移動が長くなればなるほど、機内の湿度はどんどん下がります。機内の空調は一括管理ですので、エコノミークラスよりビジネスクラスの方が湿度が高い!・・・なんてことはありません。
どのクラスも平等に乾燥しますので、機内での過ごし方には工夫が必要です。まずは、機内の乾燥が身体に与える影響について、ご説明しましょう。
機内の乾燥がもたらす身体への影響
乾燥した機内で過ごすと、身体に次のような症状が出ることがあります。
- 肌のかゆみ
- 鼻・喉の渇きや痛み
- 目の乾き
- 髪がパサつく
湿度が低いと、お肌や髪の水分が取られ、カッピカピ・パッサパサになってしまいます。いざ、飛行機から降りる前にバッチリ決めようと思っても、「お化粧のノリが悪くてガッカリ」「目が痛くてコンタクトが入らない!」なんてことになりかねません。さらに、鼻や喉が乾燥しすぎて痛くなり、それが原因で風邪を引いてしまうこともあります。
せっかく楽しい旅行が待っているのに、こんなことになってしまっては残念ですよね?これらの症状を緩和するためには「保湿」がとっても大切です。
乾燥だけでなく、寒さ対策も必要
機内では寒さ対策も必要です。飛行機の外は−40℃にもなりますが、基本的には飛行機の室温は22℃〜26℃に調整されています。一般的に外資系の航空会社では、それよりもさらに室温が低めに設定されています。(外国の方は暑がりが多いんです。)
また、機内の空気の流れは一定ではないため、着席位置によって気温差があります。飛行機では、一人一人の空調を調整することができないので、ある程度の「暑い・寒い」は我慢して、自分で調節するしかありません。機内で毛布を借りることもできますが、数に限りがあるので、貸してもらえるかどうかわかりません。寒さ対策はご自身で工夫するのが良いでしょう。
寒さ対策におススメな機内持ち込みアイテム
- 薄手のダウン
- ストール
- マスク
- 使い捨てカイロ
- 厚めの靴下
乾燥しない飛行機がある!
通常5%程度の湿度しかない飛行機の機内ですが、実は最新の飛行機では20%の湿度を保てるものもあるんです。この加湿機能のついた飛行機は、以前の飛行機に比べると、随分過ごしやすいんですよ!いつもならすぐに乾燥するおしぼりも、この飛行機では、いつまでもしっとり。この湿度は、飛行機での移動が多い人には嬉しいですよね!
現在のところ、この加湿機能が搭載されているのは787という機材のみです。今後、全ての飛行機に加湿機能が搭載されると、楽に旅ができるようになるかもしれません。楽しみですね!
ちなみに、「加湿器を機内持ち込みすればいいのでは?」と思った方!水蒸気が出るタイプの加湿器は機内では使えません。もし加湿器を使いたい場合は、「ペーパータイプ」のものを選んでください。
CAオススメ!機内での過ごし方
CAは、その仕事柄、いつも乾燥と戦っています。そんなCAがいつもやっている乾燥対策を大公開します!
- こまめな水分補給
- 濡れマスク
- お顔の保湿は念入りに
- 乾燥対策にはクリームやオイル
ひとつずつ詳しく説明しますね。
こまめな水分補給
ポイントは、水分を「こまめに」取ることです。CAは仕事中、ギャレー(飛行機のキッチン)に戻るたびに、ちょくちょく水分補給をしています。さらに、もうひとつ大切なことは「常温の水」を飲むことです。
常温の水を飲む理由
- コーヒー・お茶は利尿作用があるので、せっかく取った水分が出てしまう
- ジュースを多量摂取すると糖分を取りすぎる(どうしても飲みたいときはお湯で割る)
- 冷たい水は体を冷やす
お水はこまめに、少しずつ、たくさん飲んだほうがいいので、できれば飛行機に乗る前に、ペットボトルのお水を購入しておくといいと思います。(お水などの液体物は、セキュリティエリアで没収されてしまいます。飲み物は、セキュリティエリア通過後の売店などで購入してくださいね。)
濡れマスク
普通のマスクでも、自分の呼気で湿度を保てるアイテム「マスク」。CAは、長距離路線だと2.3時間ほどの休憩時間がもらえるのですが、その際には乾燥防止のためマスクをする人がほとんどです。
中でも「濡れマスク」はいわば、「口に付ける加湿器」で普通のマスクよりも、より喉の潤いをキープすることができるのでオススメです。香りを楽しめるものもあるので、リラックスにもぴったりですね!
お顔の保湿は念入りに
飛行機に乗る際、女性はあらかじめメイクオフしておきましょう。
機内の乾燥で、メイクが崩れるだけでなく、肌荒れの原因となるためです。ただし、スッピンのままではどんどん水分が奪われてしまいますので、しっかりと保湿することが重要です。
さっぱりタイプの化粧水よりも、しっとりタイプの方がいいかもしれませんね。「乾いてきたかな?」と思ったら、化粧水をこまめに付けるようにしてください。
たまに、機内でシートパックをしたままおやすみになっている方を見かけますが、機内の乾燥によってシートパック自体が乾いてしまい、結果的にお顔の水分を余計に奪ってしまうことになりますので、オススメできません。シートパックをするときは、いつもより時間を少し短めにすると良いでしょう。
もちろん、女性だけが乾燥するわけではありませんよ!男性も保湿を忘れないでくださいね。
CAはお仕事ですので、お化粧をしないわけにはいきません。化粧下地に一滴の美容オイルを混ぜたり、最初のお化粧を少し薄めにして(口紅はしっかり塗ります!)崩れにくくするなど、工夫をしています。
ちなみに私は、ベースメイクにリキッドファンデーションとニベアを混ぜて使っていました。ニベアは、ベイスメイク・ハンドクリーム・ヘアワックスがわりなどに使える、万能コスメなんですよ!
乾燥対策にはクリームやオイル
CAが仕事をする上で、なくてはならないアイテム。それは・・・
- ハンドクリーム
- リップクリーム
- ネイルオイル
これぞまさに「CA 三種の神器」です。
ハンドクリームは無香料で保湿力のあるものが人気です。リップクリームは、とにかく唇が潤うものを。口紅だけでは、くちびるがガサガサになってしまうこともあります。CAは指先もよく見られているので、ネイルケアにも気が抜けません。ガサガサの指でサービスされるのは嫌ですよね?
CA式の美容法では、何よりも「保湿」が重要です。
まとめ|過酷な乾燥の中で過ごすにはCA式の保湿が有効!
機内での保湿の重要性について、ご理解いただけましたでしょうか。飛行機の機内がいかに過酷な環境であるかがお分かりいただけたことと思います。
- 機内は想像よりも乾燥している
- 乾燥が身体に悪影響を与える
- 機内では乾燥対策だけでなく、寒さ対策も必要
そんな環境の中で、どうやって過ごすかが大切だということですね!
CA式保湿で機内でも快適に!
私がCAだった頃に気をつけていたことなどをご紹介しました。メイクを落としてから、飛行機に乗れるお客さまのことを「うらやましい」と思ったことは、一度や二度ではありません。
- こまめな水分補給には「常温の水」
- 口元の加湿器「濡れマスク」
- できるならメイクオフ。保湿はしっかりと
- 機内の乾燥対策に「CA三種の神器」
ぜひこれらを参考に、次回ご搭乗の際は乾燥と寒さ対策を万全にして、快適な空の旅をお過ごしください!