「国際線CAはハードだと聞くけど、どういうスケジュールで仕事をしているのかな?」

「休みの日は何をしているのかな?あらかじめ予定は立てられるんだろうか?」

皆さんは「国際線のCA」と聞いて、華やかな舞台で活躍するCAを想像するのではないでしょうか。仕事も、私生活もキラキラした夢の世界。・・・そんなふうに思っていませんか?

今回は、元JALのCAだった私が、JAL国際線CAのフライトパターンやお休みの日の過ごし方、秘密の懐事情まで教えちゃいます。

国際線CAのスケジュール

JALCAは4勤2休を基本とするシフト制

JALのCAのスケジュールは、4勤2休を基本とするシフト制になっています。このシステムのメリットは、先のお休みが予測できること。そのため、4勤務の前後に有給休暇を使っておやすみを入れれば、連続したお休みが取れることもあります。

デメリットは、裏のパターンで飛んでいる人とは全く会えないこと。仲のいいCAと時間を合わせることは至難の技です。ここで、実際の国際線CAのパターンを見てみましょう。一週間だと短すぎてよくわからないと思うので、二週間分にしました。

あるCAの二週間スケジュール

  1. 国内線の日帰り
  2. ホノルル便 (フライトタイム 約6時間)
  3. ↓(ステイタイム 約20時間)
  4. 帰国(フライトタイム 約9時間)
  5. 休み
  6. 休み
  7. ニューヨーク便 (フライトタイム 約13時間)
  8. ↓(ステイタイム 約1日と15時間)
  9. 帰国(フライトタイム 約14時間)
  10. 休み
  11. 休み
  12. 休み
  13. スタンバイ

雰囲気はつかんでいただけましたか?「ホノルルで丸一日ある!」と思った、そこのあなた。時差をお忘れではないでしょうか。ホノルルと日本の時差は19時間です。日本の夜に出発して、ホノルルに着くのは日本時間の深夜です。

徹夜しているので睡眠も取る必要がありますが、寝すぎると翌日の乗務前に寝られなくなり、フラフラで帰りの便に乗務することになってしまいます。国際線のCAは、目的地に着いた直後から、睡眠時間や、次便の出発時間も考えなければなりません。

ニューヨークは時差もあり、フライトタイムも長いので、帰国後のおやすみは3日間あります。一旦、4勤2休のパターンから外れますが、その後4勤1休となり、元のパターンに戻ります。

国際線CAは国内線も乗務する

国際線を乗務するCAは国内線にも乗務します。CAは入社後、まず1年ほど国内線のみを経験し、国際線に移行します。そのため、国際線のCAは全員国内線乗務の経験があり、国内線では新人CAの指導者的な立場を担っています。

国内線と国際線では、それぞれに違った大変さがあります。

国内線で大変なこと

  • フライトタイムが短いので、サービスできる時間が短い
  • 1日に最大で4便に乗務する
  • 便間が短く、休憩時間が少ない
  • 新人CAが多い

国際線で大変なこと

  • ミールサービスがある
  • サービスアイテムが多い
  • 事前勉強が必要
  • 一人一人の役割が大きい
  • フライト時間が長い

CA特有のスケジュール「スタンバイ」

スタンバイとは、その名の通り、待機勤務です。先ほど見ていただいたスケジュールの14日目に入っていました。

飛行機は、必要な人数のCAが乗務していないと運航ができません。万が一の時の要因として「スタンバイ」という勤務があります。

スタンバイのCAが必要になる場合

  • 当日乗務予定のCAの体調不良
  • 急に大きいサイズの飛行機に変更になり、必要なCAが増えた
  • 飛行機の故障、遅延などで、違うCAが目的地に行く必要ができた

スタンバイのCAはいつ呼ばれてもすぐに対応できるよう、決まった時間待機していなければなりません。

スタンバイでの大変な思い出

  • 1泊の荷物を用意して会社でスタンバイしていたら、3泊4日のフライトが入った
  • 次の日がホノルルだったのでその準備をしていたら、スタンバイでモスクワが入り、荷物のパッキングが間に合わなかった
  • カップラーメンにお湯を注いだ直後に、スタンバイに呼ばれ、カップラーメンが食べられなかった。
  • 自宅スタンバイ中、洗濯をしている最中にスタンバイ起用され、洗濯物が干せなかった。
  • 急に長距離路線のスタンバイに呼ばれ、事前学習ができず、大変な思いをした。

スケジュールが変わることもある

スタンバイの後、バンコク便の乗務を予定していたCA がスタンバイに呼ばれてしまうと、スケジュールが大きく動いてしまいます。

もともとバンコク便だったCAの穴埋めに、別のCAが呼ばれ、そのCAの穴埋めにさらに別のCAのスケジュールが変わります。

このようにして、一人の CAのスケジュールが変わると、大体10人前後のCAのスケジュールに変更が発生します。

また、台風や大雪などの影響を受けて、スケジュールが変わることもあります。パターン上では4勤2休になる予定ですが、休みの日は「決定」ではありません。残念ながらおやすみの日がずれてしまうこともあります。

 国際線CAの休日の過ごし方

国際線のCAはお休みの日を、どのように過ごしているのでしょうか。

体力の回復に努める

お休みの1日目は、ほぼ体力回復のために時間が費やされます。時差と長時間のフライトで、帰ってきた後は疲れが一気に出ることが多く、CAはその疲れを2日のお休みで回復させ、また元気に次のフライトに向かう必要があります。

CAのおすすめ体力回復方法

  • とりあえず、ひたすら寝る
  • 軽く体を動かす
  • 日光を浴びて、体内時計をリセットする
  • 消化の良い、温かいものを食べる

 国際線は事前学習も必要

国際線乗務時は、 事前学習が必要です。そのため、お休みの2日目は事前学習と次のフライトの準備に時間を要します。

国際線乗務前の事前学習

  • 就航地の情報(持ち込み制限、通貨、免税範囲、空港情報など)
  • 使用する機材の特性
  • 自分の担当するポジションについて
  • サービスの方法
  • サービスするお食事、飲み物に関すること
  • 保安・安全に関すること
  • フライトに関する最新の情報
  • お客さまの情報

慣れてくれば、事前学習は2時間ほどで終わりますが、新人の頃はこの作業が本当に大変で、一日がかりになることもあります。

遊びに行くタイミングを考える

体力回復と、次のフライトの準備に大忙しなCA。もちろん、時間を見つけて遊びに行くこともあります。ただ、時間の不規則な仕事ですので、翌日が早朝の場合もあります。

お酒も「乗務の12時間前から禁止」というルールがありますので、遊びに行くタイミングもよく考えなければなりません。

国際線CAの懐事情

国際線CAはお買い物が大好き

CAはお買い物好きな人も多いです。フライトで行った先で、上手にお買い物を楽しんでいます。日本で買うと高いブランド品も、海外で買えば安く手に入ることが多いので、ついつい購入してしまいます。

ただ、注意点がひとつ。

一般の旅行者の免税範囲は30万円ですが、CAの免税範囲は1万5000円。その範囲を超えると納税しなければなりません。

ちょっとしたお土産を買っただけでも1万5000円なんて、あっという間に超えてしまいます。

「せっかく安く買ったのに、納税してみたら日本で買うのとあまり変わらなかった」とならないように気をつけなければなりません。

 国際線CAは基本的に外食ばかり

国際線CAはなかなか自炊する時間がないため、外食が多くなります。

外食が多い理由

  • 疲れすぎていて、自炊する元気がない
  • ステイ先では必然的に外食
  • 次のフライトを考えると、冷蔵庫に食材を残せない
  • お休みの日に遊びにいくことが多い

ちなみに、国際線ではお食事が出ますよね?お客さまへのお食事のサービスが終わった後、CAもそのお食事をいただいています。それもやっぱり、「外食」になってしまいますよね。

フライトに食べ物を持って行って行く、健康志向なCAもいますが、食べ物などの持ち込みに厳しい国もあります。色々と面倒なので、現地調達するCAが多いのが現状です。

まとめ|国際線CAはセレブとは程遠い

CAのスケジュールは超多忙

国際線CAの一週間、いかがでしたでしょうか。思いのほか忙しく、お休みの日も、次の仕事に縛られ続けているCAという仕事は、超多忙ですよね。何が大変なのか、まとめてみましょう。

  • 4勤2休の勤務体系
  • 国際線CAは国内線も乗務する
  • スタンバイ勤務
  • 急なスケジュール変更
  • 体力回復に時間を要する
  • 事前学習が必須
  • 遊びに行くタイミングの管理も必要

お金の管理はしっかりと

決して高くないCAのお給料ですが、CAは基本給とは別に宿泊費や乗務手当などが支給されています。そのため、一般よりも「高給」というイメージがあるのかもしれません。しかし、CAはお金を貯めるには、少々難しいお仕事かもしれません。

お金が貯まりにくい理由

  • 外食が多い
  • 海外でついつい買い物をしてしまう
  • お休みの日を充実させたくて、出かけてしまう

それでも、堅実にきちんと貯金をしているCAもいます。お金の管理は、ご自身でしっかりと行いましょう。国際線のCAがセレブとは程遠いということをご理解いただけたでしょうか。表向きには華やかな世界ですし、優雅な生活をしているように見えますが、実際のところは厳しい世界です。

ただ、海外で色々な経験ができたり、ちょっとお得にお買い物ができるというのは、CAの特権かもしれませんね。